水耕栽培は土を使わずに植物を育てられる便利な方法ですが、その反面「スポンジにカビが生える」という問題が頻繁に起こります。黒や緑、白いふわふわといったカビの種類ごとに特徴やリスクが異なり、さらに大葉やバジルといった特定の植物では発生しやすい条件も存在します。本記事では、カビの種類別特徴、発生原因、除去の手順、薬剤使用時の注意点、木酢液やハイドロボールを用いた管理方法などを体系的に解説します。読者が「なぜカビが発生するのか」「どう防止すればよいのか」「万が一発生したらどう対処するのか」を一度で理解できるよう、一次情報源や専門知識に基づいた内容を盛り込みました。
- カビの種類(黒・緑・白)と見分け方
- 大葉カビやバジルで起こるカビ発生メカニズム
- カビが生えたら実施すべき除去・対処法
- ハイドロボール カビや木酢液・薬を使った予防法
Contents
水耕栽培でスポンジにカビが発生する原因と特徴
- 黒のカビが出るときの注意点
- 緑のカビが広がる場合のリスク
- 白いふわふわのカビの正体とは
- 大葉カビが発生する仕組みを解説
- 対処はスポンジを使った予防と管理
- バジル栽培で起こりやすいカビの種類
黒のカビが出るときの注意点
黒色のカビは水耕栽培において最もよく目にする現象のひとつであり、主に「黒カビ(Cladosporium 属など)」と呼ばれる真菌類に起因します。発生条件としては、湿度が70%以上、温度が20〜30℃の範囲にある環境で特に活発になります。スポンジに付着した養液や肥料成分が乾燥せずに残り続けると、胞子が付着・繁殖しやすくなります。一般家庭での水耕栽培では、換気不足やエアレーション不足が大きな要因になることも多いです。
黒カビの胞子は非常に軽く、空気中を漂いながら他の場所へ広がる性質を持っています。室内で水耕栽培を行っている場合、発生源となるスポンジ部分だけでなく、周囲のプラスチック容器や培養液の表面にも拡散する危険があります。そのため、初期の段階で黒い斑点や粉状の汚れを確認した時点で早めの処置が必要です。
また、黒いスポンジを使用している場合は注意が必要です。暗色のスポンジは光を吸収しやすく、藻類やカビの発生を促進する傾向があるとされています。特に光合成に利用される波長が吸収されることで、微生物が活動しやすい微環境が生じることがわかっています。これは、栽培環境の管理においてスポンジの材質選びが重要であることを示す一例です。
黒カビがスポンジに定着すると、見た目の不快感に加えて植物の根への酸素供給が妨げられ、根腐れを引き起こす可能性もあります。根が呼吸できなくなると、光合成によって生産された養分が適切に利用できず、生育不良や葉の黄化につながります。特に幼苗期の植物は根が未発達なため、少量のカビでも影響を受けやすいとされています。
黒カビを予防するためには、スポンジを常に清潔に保つこと、養液の交換を週1〜2回の頻度で行うこと、そして光と通気をバランスよく確保することが基本です。農業研究分野においても「湿度管理と衛生管理が黒カビ抑制の鍵である」と報告されています。
緑のカビが広がる場合のリスク
緑色のカビは、多くの場合「青カビ(Penicillium 属)」や「藻類」の繁殖によるものです。カビと藻類は異なる微生物ですが、見た目が似ているため区別が難しいことがあります。藻類が繁殖する場合は、光がスポンジや培養液に届きすぎていることが原因で、光合成を行いながら緑色に発色します。特に直射日光が当たる場所に水耕栽培容器を置いている場合や、透明の容器を使用している場合に多発します。
緑のカビや藻類がスポンジに広がると、スポンジの通気性が低下し、根が十分に酸素を吸収できなくなります。また、藻類は夜間に酸素を消費するため、根が酸素不足に陥るリスクも高まります。このような状態が続くと、植物は根腐れを起こし、最終的には枯死につながることがあります。さらに藻類の繁殖は水のpHバランスを変化させ、栄養素の吸収効率にも悪影響を与える点が問題視されています。
緑カビや藻類を防ぐためには、遮光が最も効果的です。容器を不透明な素材に替える、アルミホイルや黒い遮光シートで光を遮るなどの工夫が推奨されます。水質を清潔に保つために、培養液の交換頻度を上げるのも有効です。緑のカビが一度広がってしまった場合、表面の洗浄だけでは不十分であるため、スポンジごと交換するのが望ましいとされています。
家庭菜園の分野では「緑藻の繁殖は光と栄養の過剰供給によって引き起こされる」という認識が一般的です。これは、自然界の池や水槽で起こるアオコの発生と同じ原理であり、水耕栽培の小規模環境でも再現されてしまうということです。したがって、光・水・栄養のバランスを保つことが最大の対策といえます。
白いふわふわのカビの正体とは
水耕栽培でよく見られる「白いふわふわ」とした物質は、単なるホコリや肥料の結晶ではなく、多くの場合は糸状菌と呼ばれる真菌類の集合体です。糸状菌は空気中に存在する胞子が湿度の高い場所に落下し、適切な栄養分(水耕栽培の肥料成分など)が存在すると急速に繁殖します。特に窒素やリン酸が多い環境では菌糸の成長が促されやすく、スポンジ表面に白く柔らかい綿毛のような構造が形成されます。これが「白カビ」と呼ばれる正体です。
白カビは植物に対して直接的な病原性を持つ種類も存在し、根や茎に接触すると吸水や養分吸収を阻害するリスクがあります。例えば、ボトリチス属(灰色かび病の原因菌)などは低温多湿環境で広がりやすく、観葉植物や野菜の枯死に至ることも報告されています。また、白カビは胞子を空中に飛散させる性質を持つため、スポンジ表面だけでなく周囲の葉や水耕容器全体に広がる危険性があるのも特徴です。
発生条件としては、相対湿度70%以上の環境が特にリスクが高いとされ、室内栽培で換気が不十分なケースや、エアレーションが弱い栽培容器では一層増殖しやすくなります。さらに、スポンジが常に水没しているような状態では通気性が損なわれ、菌糸の繁殖基盤が拡大する要因となります。逆に、スポンジ表面を乾湿のサイクルで適度に保つことでカビの増殖を抑えることが可能です。
白いカビは見た目が柔らかいため軽視されがちですが、実際には植物の成長停滞や根腐れを引き起こす前兆でもあります。そのため、発見した際には放置せず、すぐにスポンジの表面を流水で軽く洗い流すことや、該当部分を切り取るなどの物理的除去が推奨されます。また、除去後には水耕容器の消毒を行い、再発防止のために換気や湿度調整を徹底する必要があります。
国内の園芸関連資料でも、白カビの発生が野菜の成長不良や病気の引き金となることが報告されており、農業技術研究機関の研究成果からもその影響が確認されています(出典:農研機構「施設園芸におけるカビ類の発生実態」)。このように、白カビは単なる見た目上の問題ではなく、植物全体の生育に関わる重要なリスク要因と理解することが大切です。
大葉カビが発生する仕組みを解説
大葉(水耕栽培で人気の青じそなどの葉物野菜)は、広い葉面を持ち、かつ湿度を含みやすい性質からカビ発生のリスクが高い作物です。特に「大葉カビ病」と呼ばれる現象は、水耕スポンジやその周辺で頻発し、葉や根に悪影響を及ぼすことが知られています。大葉の葉面は蒸散量が多いため、葉裏に水滴が残りやすく、その水分がカビの温床となります。その結果、葉裏から菌が侵入し、やがてスポンジ部分にまで広がることがあります。
大葉カビは一般的に空気中に存在する菌が飛散し、葉の表面に付着した後に繁殖するケースが多いと考えられています。特に室内での水耕栽培では換気不足や照明器具による局所的な温度上昇が重なり、葉とスポンジが直接接触する部分で菌糸が移行しやすくなる点が問題視されています。この現象は「葉からスポンジへの逆流現象」とも呼ばれ、栽培環境全体の衛生状態に影響を与えることがあります。
また、大葉は表面に微細な毛があり、これが水滴を保持しやすい構造となっているため、乾燥しにくくカビの繁殖を助長します。さらに、液肥のミストが葉に付着すると、カビの栄養源となる糖分や窒素化合物が局所的に供給され、カビ発生の引き金となるケースも確認されています。これらの要因が複合的に作用することで、大葉特有の「葉裏から始まるカビ発生」が起こりやすくなるのです。
対策としては、栽培中に大葉がスポンジと直接触れないよう支柱や間隔を確保すること、定期的に葉裏を観察し、水滴やミストが長時間残らないようにすることが挙げられます。また、扇風機やサーキュレーターを用いて空気を循環させることで、湿気を防ぎ、カビの繁殖を抑える効果も期待できます。さらに、液肥を散布する際には濃度や噴霧量を調整し、不要な付着を避けることも有効です。
大葉カビは初期段階であればスポンジの洗浄や葉の剪定で抑制可能ですが、放置すると根や他の植物に拡大する恐れがあるため、早期発見と迅速な対応が重要です。水耕栽培においては「スポンジだけでなく葉の管理も衛生の一部」と捉え、総合的な視点でカビ対策を進めることが求められます。
対処はスポンジを使った予防と管理
スポンジは水耕栽培の基盤となる培地であり、根が直接触れる部分でもあるため、カビ対策の要です。スポンジの予防管理を怠ると、黒カビや緑カビ、白カビが容易に発生し、植物の成長全体に影響を及ぼします。予防の基本は「常に清潔に保つこと」であり、定期的な洗浄と交換をセットで行う習慣が不可欠です。
日常管理としては、週に一度以上スポンジを取り出して流水で軽くすすぎ、肥料や藻類の残留を取り除くことが効果的です。洗浄の際は強い摩擦を避け、スポンジの構造を傷めないよう注意します。また、軽く絞ることで通気性を回復させ、過剰な湿りを防ぎます。これにより、カビが好む「停滞した水分環境」を避けることができます。
さらに重要なのは、スポンジの交換時期を見極めることです。長期間使用したスポンジは胞子や汚れが蓄積し、洗浄では完全に除去できない場合があります。一般的には、1〜2か月を目安に新しいスポンジへ交換することが推奨されます。特に夏場や湿度の高い時期は、交換サイクルを短めにすることでリスクを抑えることができます。
スポンジの素材選びも予防に直結します。例えば、ウレタン製のスポンジは通気性と耐久性に優れており、カビの繁殖を抑える効果が期待できます。一方、保水性の高すぎる素材は常に湿潤状態となりやすく、カビ発生を助長することがあります。したがって、栽培環境や植物の種類に合わせて適切なスポンジを選ぶことが重要です。
このように、スポンジ管理は単なる掃除ではなく、栽培環境全体の衛生状態を左右する大きな要因です。日常的に観察と手入れを行うことで、カビの予防効果を高め、安定した生育環境を維持できます。結果的に植物の根が健全に育ち、栽培成功率の向上にもつながります。
バジル栽培で起こりやすいカビの種類
バジルは水耕栽培で人気の高いハーブですが、同時にカビの発生リスクが特に高い植物でもあります。これはバジルが高湿度を嫌いながらも一定量の水分を必要とするという特性に起因します。水耕栽培では常に根が水や液肥に接触しているため、葉や茎の周辺が蒸れやすく、カビの温床となりやすい環境が自然に形成されてしまいます。特に、黒カビや白カビがバジル栽培では代表的に見られ、葉の表面やスポンジ周辺に発生することがあります。
黒カビは胞子が水分と栄養を得て一気に拡大する特徴があり、スポンジに付着するだけでなく、バジルの葉の傷口や古い葉から侵入していくケースも確認されています。一方、白カビは葉の付け根やスポンジの上部など、風通しが悪い箇所に発生しやすく、ふわふわとした菌糸が葉や茎に絡みつくように広がります。これらのカビは成長点や新芽に影響を及ぼすと、バジル全体の生育が著しく阻害され、香りや風味にも悪影響を与える可能性があります。
また、バジルは葉が密集する性質を持つため、植え付け間隔が狭いと空気が流れにくくなり、局所的な湿度が高まることがカビ発生の引き金となります。特に複数株を同じ水耕容器で栽培している場合、根が絡み合い、通気性や酸素供給が制限されることでカビや病原菌の発生が助長されることもあります。
予防のためには、まず栽培密度を適切に調整することが欠かせません。株間を広げ、風通しを確保することで湿気を軽減できます。さらに、サーキュレーターや小型扇風機を利用し、葉の表裏に空気が流れるように設置すると、蒸れを効果的に防ぐことが可能です。また、葉がスポンジに直接触れるとカビが移行するリスクが高まるため、必要に応じて支柱を使って葉を持ち上げる方法も有効です。
もうひとつ重要なのが、液肥管理です。濃度が高すぎる液肥はバジルの根を弱らせるだけでなく、余剰栄養分がカビの栄養源となるため、結果的に胞子の増殖を助けてしまいます。市販の液肥は必ず指定の希釈倍率を守り、栽培環境に合わせて濃度を調整することが推奨されます。
バジルは香味野菜として食用に供することが多いため、薬剤を使ったカビ対策は避け、物理的除去や環境改善に重点を置くべきです。カビが見つかった際には、スポンジの洗浄や患部の切除、換気の徹底といった基本的な対応で改善を図るのが望ましいと言えます。
水耕栽培でスポンジのカビを防ぐ方法と安全な除去
- カビが生えたら取るべき初期対応
- 除去の手順とポイントを解説
- 薬を利用したカビ対策の注意点
- ハイドロボール カビが出たときの管理方法
- カビ木酢液を活用した予防策
- スポンジについたカビの取り方は?
カビが生えたら取るべき初期対応
水耕栽培でカビを発見した場合、最初の対応が今後の栽培成功を左右します。カビは胞子を大量に飛散させるため、対応が遅れるとわずか数日で容器全体や植物全体に広がる可能性があります。そのため、発見後は速やかにスポンジや容器の清掃を行い、拡散を食い止めることが最優先です。
基本的な流れとしては、まずカビの付着したスポンジを取り出し、流水で軽くすすぎます。このとき、強くこすりすぎるとスポンジが破損する恐れがあるため、あくまで表面の胞子を洗い流す程度に留めるのがポイントです。次に、被害が局所的であれば、該当部分をカッターやハサミで切り取ります。これにより、胞子の発生源を除去することが可能です。
さらに重要なのは、スポンジだけでなく容器全体を洗浄することです。カビ胞子は水や空気を介して広がっているため、容器の壁面や水面にも付着している可能性があります。中性洗剤を薄めた溶液で容器を丁寧に洗い、よくすすいでから再利用します。必要に応じて、漂白剤を100倍程度に希釈した液で短時間浸け置きし、その後しっかりと水洗いする方法も有効です。
環境改善も欠かせません。カビが発生した背景には必ず湿度や通気性などの問題があります。扇風機や換気扇を用いて空気を循環させたり、スポンジを一度乾燥させてから再設置することで再発を防げます。また、水位を下げてスポンジの表面が常時水没しないように調整することも有効な方法です。
これらの初期対応を迅速に行えば、植物自体への影響を最小限に抑えることができます。逆に対応が遅れると、根にまで菌糸が到達し、回復不能なダメージを与えることもあるため、観察と即応がカギとなります。
除去の手順とポイントを解説
実際にカビを除去する際は、ただ表面的に洗浄するだけでは再発するリスクが高いため、体系的な手順を踏むことが求められます。まず、スポンジの表面を流水で軽くすすぎ、肉眼で確認できるカビを取り除きます。このとき、流水は常温またはぬるま湯程度が適切で、高温水はスポンジの劣化を早める恐れがあります。
次に、カビが根深く入り込んでいる場合には、患部をカットしてから再度洗浄します。スポンジの内部にまで菌糸が侵入していると、外側だけを処理しても短期間で再発してしまうためです。切り取る際は植物の根を傷つけないように注意しながら行い、可能であれば予備のスポンジに植え替えるのが理想です。
容器や周辺器材も同時に処理する必要があります。中性洗剤を用いたブラッシング洗浄のほか、必要に応じて熱湯消毒や希釈した酢・漂白剤を使用します。酢や漂白剤を使用する場合は、必ず十分にすすぎを行い、残留成分が根や茎に触れないように徹底することが重要です。特に漂白剤は強力ですが、適切に希釈(100倍以上が目安)して短時間で処理することが推奨されます。
また、除去作業後にはスポンジや容器を十分に乾燥させることもポイントです。乾燥はカビの再発を防ぐ最も効果的な方法のひとつであり、数時間から半日程度、風通しの良い場所で乾燥させると効果的です。再利用する際は、再び水に戻す前にカビの痕跡がないか確認することも大切です。
このように、除去作業は「洗浄・切除・消毒・乾燥」の流れを徹底することが成功の鍵となります。表面的な対応ではなく、環境全体をリセットする意識を持つことで、再発率を大幅に下げることが可能です。
薬を利用したカビ対策の注意点
水耕栽培でカビが発生した際、市販の薬剤を利用して抑制する方法も考えられます。ただし、食用植物を対象とする場合、薬剤使用には十分な注意が必要です。特にバジルや大葉といったハーブ類は、葉をそのまま食べることが多いため、農薬成分が残留すると人体に影響を及ぼす恐れがあります。そのため、薬剤の使用は最終手段として考え、まずは物理的除去や環境改善を優先するのが基本方針です。
それでも薬剤を検討する場合は、「水耕栽培対応」や「食用作物に使用可」と明記された製品を選ぶことが重要です。また、農薬の中でも有機栽培で利用可能な生物農薬(例えば、納豆菌やトリコデルマ菌などを有効成分とする資材)は、比較的安全性が高く、根やスポンジ周辺に繁殖するカビを抑制する効果が期待できます。
一方で、化学合成された殺菌剤は効果が強力な反面、水耕容器の内部環境にも残留しやすく、根にダメージを与える可能性があります。使用する際には希釈倍率を厳守し、処理後は十分に水洗いを行うことが欠かせません。また、薬剤使用後しばらくは葉や茎を収穫せず、安全な待機期間を守る必要があります。
結論として、水耕栽培では薬剤に頼らない方法が推奨されます。通気性の改善、水位の調整、定期的な容器やスポンジの洗浄といった基本管理を徹底することで、薬剤に頼らずともカビを十分に抑制することが可能です。薬の利用はあくまで補助的な対応として位置づけるべきでしょう。
ハイドロボール カビが出たときの管理方法
ハイドロボールは水耕栽培で根を支えるための培地として広く使われていますが、表面にカビが発生することがあります。これは、ボールの表面に水分や有機物が付着し、通気性が不足した状態が続くことで起こります。特に、液肥の濃度が高すぎたり、古い根の残渣が溜まったりすると、カビの繁殖源となりやすくなります。
カビが発生した場合の基本対応は、まずハイドロボールを取り出して流水で丁寧に洗浄することです。その際、ブラシなどを使って表面をこすり、カビや付着した有機物をしっかりと落とします。再利用する場合は、熱湯消毒を行うか、漂白剤を薄めた溶液に短時間浸け置きした後、十分にすすいで乾燥させることが推奨されます。
また、ハイドロボールを長期間使い続けると、内部に不純物が蓄積しやすくなります。そのため、数か月に一度は新しいものに交換するのが理想です。特に食用の葉物やハーブを栽培する場合は、衛生的な管理が欠かせません。
予防策としては、容器内の水を定期的に交換し、酸素供給を確保することが重要です。エアレーションを導入することで、根や培地周辺の環境を健全に保ち、カビの発生を抑える効果が期待できます。また、容器を直射日光の当たらない場所に設置することで、水温上昇や藻類の繁殖を防ぐことも、間接的にカビ対策につながります。
ハイドロボールは繰り返し使える便利な培地ですが、清潔に保たなければカビの温床となるリスクもあるため、定期的なメンテナンスを前提に使用することが求められます。
カビ木酢液を活用した予防策
木酢液は、木炭を作る際に発生する煙を冷却して得られる液体で、古くから園芸や農業で害虫・病害対策に利用されてきました。水耕栽培においても、木酢液を適切に使用することでカビの発生を抑制する効果が期待できます。
木酢液の成分には有機酸やフェノール類が含まれており、これらがカビの胞子形成を抑える働きを持ちます。使用する際は必ず薄めて利用することが重要で、原液をそのまま使うと植物の根を傷める恐れがあります。目安としては500〜1000倍に希釈し、スポンジや容器を洗浄するときに利用する方法が一般的です。
また、木酢液を霧吹きで軽く噴霧することで、スポンジや葉の表面に薄い膜を形成し、カビの付着を防ぐ効果も期待できます。ただし、頻繁に使用すると根や葉が酸性環境にさらされるため、週に1回程度の使用にとどめるのが安心です。
注意点として、市販されている木酢液の品質は製造方法によって大きく異なります。食用作物に使用する場合は、不純物が少なく、農業用または園芸用として販売されている安全性の高い製品を選ぶことが大切です。安価な木酢液の中にはタール成分が多く含まれているものもあり、植物に悪影響を与える可能性があるため、購入時には必ずラベルを確認しましょう。
このように木酢液は、水耕栽培における自然派のカビ対策として有効ですが、あくまで補助的な手段であり、基本は通気性や清潔さを維持することが最も重要です。
スポンジについたカビの取り方は?
水耕栽培におけるスポンジは、苗を固定し根を安定させるための重要な部材ですが、同時に湿度と栄養分が集まりやすいため、カビが繁殖しやすい環境でもあります。スポンジについたカビを取り除く際には、その進行度合いや植物の状態を見極めながら段階的に対応する必要があります。
最も軽度の場合は、表面に白いふわふわとした菌糸や黒い点状の胞子が現れる程度です。この段階では流水で優しく洗い流すだけでも大きな効果があります。摩擦を避けつつ、ぬるま湯を使うとカビが浮きやすくなり、再付着のリスクを抑えられます。
やや進行している場合は、スポンジ内部にカビが入り込んでいる可能性があります。この場合はカビの見える部分をハサミで切除し、残った部分を十分にすすぎます。切除後は再利用できるものの、スポンジの物理的な強度が落ちていることが多いため、次回以降は交換を検討することが望ましいです。
さらに進行が深刻で、スポンジ全体が変色していたり強い異臭を放っている場合は、植物への悪影響を避けるため廃棄するのが最も安全です。特にバジルや大葉といった葉物野菜は、根がスポンジを通じて直接水分や酸素を得ているため、汚染されたスポンジを使い続けると生育障害や病気の原因となる恐れがあります。
補助的な方法として、希釈した酢や木酢液を使った除菌も有効です。500〜1000倍程度に薄めた溶液を軽くかけた後に十分すすぎ、乾燥させると殺菌効果を期待できます。ただし濃度が高すぎると根を傷めるため、常に試験的に少量から試すことが推奨されます。
除去作業の後は必ず風通しの良い場所で完全に乾燥させてから再設置してください。半乾きの状態では再びカビが発生するリスクが高まります。スポンジの再利用を重視する場合でも、数回以上の除去対応を行ったスポンジは早めに交換するのが安全策といえます。
まとめ|水耕栽培のスポンジでカビを防ぐ基本習慣
水耕栽培におけるカビ対策は、一度限りの処置ではなく「日常の管理習慣」によって安定して成果が出るものです。特にスポンジは根の基盤となるため、ここでの清潔管理が植物全体の健全さを左右します。以下に押さえておきたい基本習慣を整理します。
- スポンジは常に適度な湿りを保ち、過剰な濡れを避ける
- 黒・緑・白などカビの種類を見分け、原因環境を理解する
- 大葉やバジルなど湿度に敏感な作物は風通しを確保する
- カビが出たら即座に水洗いや切除で対応し拡大を防ぐ
- 除去時は根や茎を傷めないよう慎重に扱う
- 薬剤利用は最終手段とし、濃度と残留リスクを十分に確認する
- ハイドロボールや容器も同時に清掃し、胞子の再付着を防止
- 木酢液など自然由来の手段は希釈を徹底し少量から試す
- 定期的にスポンジを交換し、衛生的な栽培環境を維持する
- 遮光や換気、エアレーションでカビ発生の条件を減らす
- 日頃から観察を習慣化し、小さな異変も早めに対応する
これらを日常的に実践することで、水耕栽培におけるカビ発生のリスクを大幅に下げることができます。スポンジの清潔さを保つことは、植物の根の健康を守り、最終的には収穫物の品質や収量にも直結します。家庭菜園から商業レベルまで共通して役立つ基本習慣といえるでしょう。
今後、より高度な水耕栽培を目指す場合は、光・水・空気・温度を精密に制御できる環境を整えることも検討すると良いでしょう。そうした先進的な設備が整わない環境でも、日常の小さな工夫と丁寧な管理によって、カビを未然に防ぎ、健全な植物を育てることは十分に可能です。
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